小部経典

クッダカパータ

8 ニディカンダ・スッタ(伏蔵経)

1. 水〔の出る所〕を限度“かぎり”とする〔地中〕深くに、人は、財宝を安置する。「義(利益)のある為すべきことが生起したとき、わたしの義(利益)のためと成るであろう」〔と〕。

2. あるいは、王から悪く言われたなら、〔彼から逃れるために〕。あるいは、盗賊から責め苛まれたなら、〔彼から逃れるために〕。あるいは、借金の解き放ちのために。あるいは、飢饉において、諸々の災害において、〔それらの災難から逃れるために〕。この義(目的)のために、世において、財宝というものが安置される。

3. 水〔の出る所〕を限度とする〔地中〕深くに、それほどに、善く安置されたものとして存しているとして、一切が、まさしく、一切時において、それが、彼のために役立つことはない。

4. あるいは、〔その〕場から、財宝が死滅する(消失する)。あるいは、彼の表象〔作用〕(想)が迷乱する。あるいは、龍たちが取り去る。あるいは、また、それを、夜叉たちが運び去る。

5. あるいは、また、見ていないなら、愛しからざる相続者たちが取り出す。功徳の滅尽が有るとき、この一切が消失する。

6. 誰にとっても、布施によって、戒によって、自制によって、さらには、調御によって、財宝は、善く安置されたものと成る――女のばあいも、あるいは、男のばあいも。

7. しかして、塔廟において、あるいは、僧団において、人において、あるいは、客たちにおいて、母において、さらには、また、父において、しかして、長兄において――

8. この財宝は、善く安置されたものとなり、不可伐のものとなり、従い行くものとなる。〔死に行く者を〕捨棄して、〔諸々の財物としての財宝が〕去り行くべきときに、〔慧者は〕この〔功徳としての財宝〕を取って、〔他世へと〕去り行く。

9. 他者たちと共通ならざるもの、盗賊が運び去ることなきものが、財宝となる。その財宝が、〔人に〕従い行くものであるなら、慧者は、諸々の功徳を作り為すであろう。

10. 天〔の神々〕や人間たちに、一切の欲望〔の対象〕を与えてくれるのが、この財宝である。まさしく、〔欲する〕もの、〔欲する〕ものを、〔彼らが〕望み求めるなら、〔その〕一切が、この〔財宝〕によって得られる。

11. 善き色艶たること、善き音声たること、善き外貌たること、善き形姿たること、主人と〔その〕取り巻き――〔その〕一切が、この〔財宝〕によって得られる。

12. 地域の王権、権力、転輪〔王〕の安楽としての愛しきもの、諸天における天の王権もまた――〔その〕一切が、この〔財宝〕によって得られる。

13. さらには、人間としての得達“しあわせ”、さらには、〔まさに〕その、天の世〔界〕における喜びなるものも、さらには、〔まさに〕その、涅槃の得達なるものも――〔その〕一切が、この〔財宝〕によって得られる。

14. 〔善き〕朋友の成就(善知識の獲得)を縁として、まさしく、根源“あり”のままに、〔瞑想に〕専念している者の、明知と解脱の自在の状態――〔その〕一切が、この〔財宝〕によって得られる。

15. 即妙自在〔の知慧〕(無礙解)、さらには、解脱、さらには、〔まさに〕その、弟子としての最奥義(波羅蜜)なるものも、独覚の覚り(独覚菩提)、覚者の境地(仏地)――〔その〕一切が、この〔財宝〕によって得られる。

16. このように、大いなる義(利益)ある、この〔財宝〕は、すなわち、これ、功徳の成就である。それゆえに、慧者たる賢者たちは、作り為された功徳あることを賞賛する。ということで――

〔以上が〕ニディカンダ・スッタとなる。