小部経典

3:ウダーナ

1.8. サンガーマジの経(8)

 このように、わたしは聞きました。或る時のことです。世尊は、サーヴァッティに住しておられます。ジェータ林のアナータピンディカ〔長者〕の園地において。さて、まさに、その時、尊者サンガーマジが、世尊と相見えるために、サーヴァッティに到着したのです。まさに、尊者サンガーマジの以前の伴侶は、「尊貴なるサンガーマジが、どうやら、サーヴァッティに到着したらしい」と耳にしました。彼女は、幼児を抱えて、ジェータ林へと赴きました。

 さて、まさに、その時、尊者サンガーマジは、或るどこかの木の根元で、昼の休息のために坐していたのです。そこで、まさに、尊者サンガーマジの以前の伴侶は、尊者サンガーマジのいるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、尊者サンガーマジに、こう言いました。「沙門よ、まさに、小さな子供がいるのです、わたしを養ってください」と。このように言われたとき、尊者サンガーマジは、沈黙したままでした。

 再度また、まさに、尊者サンガーマジの以前の伴侶は、尊者サンガーマジに、こう言いました。「沙門よ、まさに、小さい子供がいるのです、わたしを養ってください」と。再度また、まさに、尊者サンガーマジは、沈黙したままでした。

 三度また、まさに、尊者サンガーマジの以前の伴侶は、尊者サンガーマジに、こう言いました。「沙門よ、まさに、小さい子供がいるのです、わたしを養ってください」と。三度また、まさに、尊者サンガーマジは、沈黙したままでした。

 そこで、まさに、尊者サンガーマジの以前の伴侶は、その幼児を尊者サンガーマジの前に置き去りにして、立ち去りました。「沙門よ、これは、あなたの子供です。彼を養ってください」と。

 ですが、まさに、尊者サンガーマジは、その幼児を眺めることもなければ、語りかけることもまたありませんでした。そこで、まさに、尊者サンガーマジの以前の伴侶は、遠く離れていないところまで行って振り返りつつ、尊者サンガーマジが、その幼児を眺めることもなければ、語りかけることもまたなくあるのを見ました。見て、彼女は、こう思いました。「さてまた、この沙門は、子供であろうが、義(必要)とする者にあらず」と。そののち、〔彼女は〕戻ってきて、幼児を抱えて立ち去りました。まさに、世尊は、人間を超越した清浄の天眼によって、尊者サンガーマジの以前の伴侶の、このような形の変わり様を見ました。

 そこで、まさに、世尊は、この義(道理)を知って、その時に、この感興〔の言葉〕を唱えました。

 「来る者を喜ばず、去る者を憂い悲しまず、執着〔の思い〕から解き放たれたサンガーマジ――わたしは、彼を『婆羅門』と説く」と。

 〔以上が〕第八〔の経〕となる。