小部経典

3:ウダーナ

2.7. 独り子の経(17)

 このように、わたしは聞きました。或る時のことです。世尊は、サーヴァッティに住しておられます。ジェータ林のアナータピンディカ〔長者〕の園地において。さて、まさに、その時、或るひとりの在俗の信者の、愛しく意に適う独り子が、命を終えたのです。

 そこで、まさに、大勢の在俗の信者たちが、濡れた衣、濡れた髪で、朝も早くから、世尊のおられるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、世尊を敬拝して、一方に坐りました。一方に坐った、まさに、それらの在俗の信者たちに、世尊は、こう言いました。「在俗の信者たちよ、いったい、どうして、まさに、あなたたちは、濡れた衣、濡れた髪で、ここへと近づいて行くのですか――朝も早くから」と。

 このように言われたとき、その在俗の信者は、世尊に、こう言いました。「尊き方よ、わたしの、まさに、愛しく意に適う独り子が、命を終えたのです。それで、わたしたちは、濡れた衣、濡れた髪で、ここへと近づいて行くのです――朝も早くから」と。

 そこで、まさに、世尊は、この義(道理)を知って、その時に、この感興〔の言葉〕を唱えました。

 「愛しい形態や快楽〔の思い〕に拘束された天の衆たち、そして、多々なる人間たち――老い朽ち、悩苦ある者たちは、死魔の王の支配に赴く。

 彼らが、まさに、昼も、夜も、〔気づきを〕怠らず、愛しい形態〔にたいする執着の思い〕を捨棄するなら、彼らは、まさに、悩苦の根(執着の思い)を、超克し難い死魔の餌(欲望の対象)を、掘り崩す」と。

 〔以上が〕第七〔の経〕となる。