小部経典

3:ウダーナ

2.8. スッパヴァーサーの経(18)

 このように、わたしは聞きました。或る時のことです。世尊は、クンディカーに住しておられます。クンダダーナ林において。さて、まさに、その時、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーが、七年のあいだ、胎児を宿しています。七日のあいだ、難産となり、彼女は、強烈で、荒々しく、辛辣な、諸々の苦痛の感受に襲われているのですが、三つの思いでもって耐え忍びます。「正自覚者なのです――まさに、彼です、世尊です――このような形の、この苦痛を捨棄するために、法(教え)を説示する方は」「善き実践者なのです――まさに、彼の、世尊の、弟子の僧団です――このような形の、この苦痛を捨棄するために、〔道を〕実践する方は」「極めて安楽なのです――まさに、それです、涅槃です――このような形の、この苦痛が、まったく見い出されないところは」と。

 そこで、まさに、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーは、夫に語りかけました。「旦那さま、さあ、あなたは、世尊のおられるところに、そこへと近づいて行ってください。近づいて行って、わたしの言葉でもって、世尊の〔両の〕足に、頭をもって敬拝してください。病苦少なく、病悩少なく、軽快であらせられ、活力があり、平穏にお暮らしであるかを尋ねてください。『尊き方よ、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーは、世尊の〔両の〕足に、頭をもって敬拝します。病苦少なく、病悩少なく、軽快であらせられ、活力があり、平穏にお暮らしであるかを尋ねます』と。そして、このように言ってください。『尊き方よ、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーは、七年のあいだ、胎児を宿しています。七日のあいだ、難産となり、彼女は、強烈で、荒々しく、辛辣な、諸々の苦痛の感受に襲われているのですが、三つの思いでもって耐え忍びます。「正自覚者なのです――まさに、彼です、世尊です――このような形の、この苦痛を捨棄するために、法(教え)を説示する方は」「善き実践者なのです――まさに、彼の、世尊の、弟子の僧団です――このような形の、この苦痛を捨棄するために、〔道を〕実践する方は」「極めて安楽なのです――まさに、それです、涅槃です――このような形の、この苦痛が、まったく見い出されないところは」』」と。

 「すばらしい」と、まさに、そのコーリヤ〔族〕の子息(夫)は、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーに答えて、世尊のおられるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、世尊を敬拝して、一方に坐りました。一方に坐った、まさに、コーリヤ〔族〕の子息は、世尊に、こう言いました。「尊き方よ、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーは、世尊の〔両の〕足に、頭をもって敬拝します。病苦少なく、病悩少なく、軽快であらせられ、活力があり、平穏にお暮らしであるかを尋ねます。そして、このように言います。尊き方よ、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーは、七年のあいだ、胎児を宿しています。七日のあいだ、難産となり、彼女は、強烈で、荒々しく、辛辣な、諸々の苦痛の感受に襲われているのですが、三つの思いでもって耐え忍びます。『正自覚者なのです――まさに、彼です、世尊です――このような形の、この苦痛を捨棄するために、法(教え)を説示する方は』『善き実践者なのです――まさに、彼の、世尊の、弟子の僧団です――このような形の、この苦痛を捨棄するために、〔道を〕実践する方は』『極めて安楽なのです――まさに、それです、涅槃です――このような形の、この苦痛が、まったく見い出されないところは』」と。

 「コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーは、安楽の者と成りなさい、無病の者と成りなさい、無病の子供を産みなさい」と。そして、また、世尊の言葉と共に、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーは、安楽の者となり、無病の者となり、無病の子供を産みました。

 「尊き方よ、そのとおりです」と、まさに、そのコーリヤ〔族〕の子息は、世尊が語ったことを喜んで、随喜して、坐から立ち上がって、世尊を敬拝して、右回り〔の礼〕を為して、自分の家のあるところに、そこへと戻りました。まさに、そのコーリヤ〔族〕の子息は、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーが、安楽の者となり、無病の者となり、無病の子供を産んだのを見ました。見て、彼は、こう思いました。「ああ、まさに、めったにないことだ。ああ、まさに、はじめてのことだ。如来の、偉大なる神通だ、偉大なる威力だ。なぜなら、そこにおいて、まさに、このコーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーは、しかして、また、世尊の言葉と共に、安楽の者となり、無病の者となり、無病の子供を産んだのだから」と。〔彼は〕わが意を得た者となり、歓喜し、喜悦と悦意が生まれたのでした。

 そこで、まさに、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーは、夫に語りかけました。「旦那さま、さあ、あなたは、世尊のおられるところに、そこへと近づいて行ってください。近づいて行って、わたしの言葉でもって、世尊の〔両の〕足に、頭をもって敬拝してください。『尊き方よ、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーは、世尊の〔両の〕足に、頭をもって敬拝します』と。そして、このように言ってください。『尊き方よ、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーは、七年のあいだ、胎児を宿し、七日のあいだ、難産でしたが、彼女は、今現在、安楽の者となり、無病の者となり、無病の子供を産みました。彼女は、七日のあいだ、覚者を頂とする比丘の僧団を、食事にお招きいたします。尊き方よ、世尊よ、どうか、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーの七〔日〕の食事を、比丘の僧団と共に、お受けください』」と。

 「すばらしい」と、まさに、そのコーリヤ〔族〕の子息は、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーに答えて、世尊のおられるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、世尊を敬拝して、一方に坐りました。一方に坐った、まさに、そのコーリヤ〔族〕の子息は、世尊に、こう言いました。

 「尊き方よ、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーは、世尊の〔両の〕足に、頭をもって敬拝します。そして、このように言います。『尊き方よ、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーは、七年のあいだ、胎児を宿し、七日のあいだ、難産でしたが、彼女は、今現在、安楽の者となり、無病の者となり、無病の子供を産みました。彼女は、七日のあいだ、覚者を頂とする比丘の僧団を、食事にお招きいたします。尊き方よ、世尊よ、どうか、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーの七〔日〕の食事を、比丘の僧団と共に、お受けください』」と。

 さて、まさに、その時、或るひとりの在俗信者によって、覚者を頂とする比丘の僧団は、明日、食事に招かれていたのです(先約があった)。ちなみに、その在俗信者は、尊者マハーモッガッラーナの奉仕者(世話係)です。そこで、まさに、世尊は、尊者マハーモッガッラーナに語りかけました。「モッガッラーナよ、さあ、あなたは、その在俗信者のいるところに、そこへと近づいて行きなさい。近づいて行って、その在俗信者に、このように言いなさい。『友よ、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーは、七年のあいだ、胎児を宿し、七日のあいだ、難産でしたが、彼女は、今現在、安楽の者となり、無病の者となり、無病の子供を産みました。彼女は、七日のあいだ、覚者を頂とする比丘の僧団を、食事に招きます。コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーに、七〔日〕の食事をしていただきます。あなたは、そのあとにしましょう』と。彼は、あなたの奉仕者です」と。

 「尊き方よ、わかりました」と、まさに、尊者マハーモッガッラーナは、世尊に答えて、その在俗信者のいるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、その在俗信者に、こう言いました。「友よ、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーは、七年のあいだ、胎児を宿し、七日のあいだ、難産でしたが、彼女は、今現在、安楽の者となり、無病の者となり、無病の子供を産みました。彼女は、七日のあいだ、覚者を頂とする比丘の僧団を、食事に招きます。コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーに、七〔日〕の食事をしていただきます。あなたは、そのあとにしましょう」と。

 「尊き方よ、それでは、もし、尊貴なるマハーモッガッラーナさまが、わたしのために、諸々の財物と、生命と、信と、三つの法(事象)の保証人になっていただけるなら、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーに、七〔日〕の食事をしていただきます。わたしは、そのあとにしましょう」と。「友よ、まさに、わたしは、あなたのために、諸々の財物と、生命と、二つの法(事象)の保証人になります。ですが、信については、あなたこそが、保証人なのです」と。

 「尊き方よ、それでは、もし、尊貴なるマハーモッガッラーナさまが、わたしのために、諸々の財物と、生命と、二つの法(事象)の保証人になっていただけるなら、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーに、七〔日〕の食事をしていただきます。わたしは、そのあとにしましょう」と。

 そこで、まさに、尊者マハーモッガッラーナは、その在俗信者を説得して、世尊のおられるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、世尊に、こう言いました。「尊き方よ、その在俗信者ですが、わたしが説得いたしました。コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーに、七〔日〕の食事をしていただきます。彼は、そのあとにしましょう」と。

 そこで、まさに、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーは、七日のあいだ、覚者を頂とする比丘の僧団を、上質の固形の食料や軟らかい食料で満足させ、自らの手で給仕しました。そして、その幼児に、世尊を敬拝させました。さらには、比丘の僧団の全てをも。

 そこで、まさに、尊者サーリプッタは、その幼児に、こう言いました。「幼児“おちび”さん、どうだい、きみは、大丈夫かい。どうだい、順調かい。どうだい、何か、苦しいことはないかい」と。「尊きサーリプッタさま、どうして、わたしが、大丈夫なのでしょう。どうして、順調なのでしょう。わたしは、血の釜(子宮)のなかで、七年のあいだ、過ごしたのです」と。

 そこで、まさに、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーは、「わたしの子供が、法(教え)の軍団長(サーリプッタ長老)を相手に語りかけている」と、わが意を得た者となり、歓喜し、喜悦と悦意が生まれたのでした。そこで、まさに、世尊は、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーが、わが意を得た者となり、歓喜し、喜悦と悦意が生まれたのを知って、コーリヤ〔族〕の子女のスッパヴァーサーに、こう言いました。「スッパヴァーサーさん、あなたは、他にもまた、このような形の〔利発な〕子供を求めますか」と。「尊き方よ、わたしは、他にもまた、このような形の七者の〔利発な〕子供を求めます」と。

 そこで、まさに、世尊は、この義(道理)を知って、その時に、この感興〔の言葉〕を唱えました。

 「快ならざるものを快なる形によって、愛しからざるものを愛しい形によって、苦なるものを楽なる形によって、〔そのように〕怠りあるものを超克する」と。

 〔以上が〕第八〔の経〕となる。