小部経典

3:ウダーナ

2.9. ヴィサーカーの経(19)

 このように、わたしは聞きました。或る時のことです。世尊は、サーヴァッティに住しておられます。東の園地にあるミガーラ・マートゥの高楼(鹿母講堂:ミガーラの母のヴィサーカーが寄進した堂舎)において。さて、まさに、その時、ミガーラの母のヴィサーカーには、或る何らかの義(利益)に関連したことが、コーサラ〔国〕のパセーナディ王にたいしてあるのですが、コーサラ〔国〕のパセーナディ王は、それを、志向するとおりに取り計らってくれません。

 そこで、まさに、ミガーラの母のヴィサーカーは、朝も早くから、世尊のおられるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、世尊を敬拝して、一方に坐りました。一方に坐った、まさに、ミガーラの母のヴィサーカーに、世尊は、こう言いました。「ヴィサーカーさん、さて、いったい、どうして、あなたはやってきたのですか――朝も早くから」と。「尊き方よ、ここに、わたしには、或る何らかの義(利益)に関連したことが、コーサラ〔国〕のパセーナディ王にたいしてあるのですが、コーサラ〔国〕のパセーナディ王は、それを、志向するとおりに取り計らってくれません」と。

 そこで、まさに、世尊は、この義(道理)を知って、その時に、この感興〔の言葉〕を唱えました。

 「他者の支配あることは、〔その〕一切が、苦痛である。主権者たることは、〔その〕一切が、安楽である。〔他者とのあいだに〕共通する〔為すべき義務〕に、〔人々は〕打ちのめされる。まさに、〔他者とのあいだの〕諸々の束縛は、超越し難きもの」と。

 〔以上が〕第九〔の経〕となる。