小部経典

3:ウダーナ

6.9. 走るの経(59)

 このように、わたしは聞きました。或る時のことです。世尊は、サーヴァッティに住しておられます。ジェータ林のアナータピンディカ〔長者〕の園地において。さて、まさに、その時、世尊は、漆黒の闇夜のなか、野外に坐しておられたのです。諸々の油の灯明が燃やされつつあるところで。

 さて、まさに、その時、大勢の蛾たちが、それらの油の灯明のなかに落ちては落ちる、不運を体験し、災厄を体験し、不運と災厄を体験します。まさに、世尊は、それらの大勢の蛾たちが、それらの油の灯明のなかに落ちては落ちる、不運を体験し、災厄を体験し、不運と災厄を体験しているのを見ました。

 そこで、まさに、世尊は、この義(道理)を知って、その時に、この感興〔の言葉〕を唱えました。

 「〔人々は、執着の対象に向かって〕走るが、真髄には至らず、新たなもの、新たなものへと、〔さらなる〕結縛を増進させる。灯火に落ちる蛾たちのように、或る者たちは、見られたものについて、聞かれたものについて、まさに、かくあるものと〔盲信し〕、固着している」と。

 〔以上が〕第九〔の経〕となる。